近畿大学理工学部物理学コースの量子制御研究室、量子多体物理学研究室、物性理論研究室が合同で運営する量子物理学および量子技術に関するセミナーです。学期中は基本的に毎週水曜日15:00-16:30に開催しています。

今後の予定

2020年度


日時: 2021年1月13日13:15-

教室: 31号館3F 31-301教室

発表者1: 脇 啓人(量子多体)

題目: リドベルグ状態の衣を着た原子気体における相互作用距離の制御と量子相転移

概要: 近年、アルカリ金属原子を光ピンセットで1個ずつトラップし空間的に並べることによって作られるリドベルグ原子集団の開発に多くの関心がもたれている。このリドベルグ原子集団を用いると、基礎的な量子スピン模型である縦横磁場イジング模型をシミュレートできる[1]。また、レーザーによるラビ結合の強さよりも離調が十分大きいときは基底状態に弱くリドベルグ状態が混合した状態(リドベルグドレス状態)が実現し、このリドベルグドレス状態をうまく選択することで長距離相互作用を制御できる[2]。
本発表では、リドベルグドレス状態を用いたリドベルグ原子集団でイジング模型の長距離相互作用を制御した実験[2]について紹介する。本研究では最も単純な強磁性の横磁場イジング模型でステップ関数型の長距離相互作用がある場合に焦点を当て、常磁性相と強磁性相の間の量子相転移を数値的に調べる。比較的手軽で量子ゆらぎをある程度まで取り込むことのできる手法である平均場近似とクラスター平均場近似[3]を適用する。相互作用が長距離まで存在する時は各サイトに繋がるボンドの数が多いので、平均場近似が良い近似になると期待できる。臨界点の相互作用の距離に対する依存性を調べ、相互作用の距離が増大するにつれてどのように平均場近似の定量性が上がっていくのかを議論する。

参考文献
[1] H. Bernie et al., Nature 551, 579 (2017).
[2] J. Zeiher et al., Nature Physic 12, 1095 (2016).
[3] D.Yamamoto et al., Phys.Rev.B 86, 054516 (2012).

 

発表者2: 堂田 佳秀(量子多体)

題目: Rydberg原子集団を記述する 高次元量子Ising模型の 精密数値解析

概要: 光ピンセットにより空間的に規則正しく配列されたリドベルグ原子集団は非常に制御性が高いため、量子磁性体の量子シミュレータとしての技術開発が世界各所で進められている。これまでに、空間1次元のリドベルグ原子集団を用いて、量子相転移やそれをまたぐ量子非平衡ダイナミクス[1,2]や対称性に守られたトポロジカル相[3]といった量子物性がこの物理系で実現されている。

本研究では、リドベルグ原子系で将来的に量子シミュレーションが実現することが見込まれる空間2次元の縦横磁場反強磁性イジング模型に関して、量子モンテカルロ法[4]を用いて基底状態相図を数値的に厳密に求める。空間1次元系においては、横磁場がゼロ磁場近傍で増大するにつれて相転移の臨界縦磁場の値が著しく減少することが知られている[5]。対照的に、空間2次元系においては臨界縦磁場の値が横磁場の関数としてほぼ一定であることを示す。

参考文献

[1] H. Bernien et al., Nature 551, 579 (2017).

[2] A. Keesling et al., Nature 568, 207 (2019).

[3] S. de Leseleuc et al., Science 365, 775 (2019).

[4]https://issp-center-dev.github.io/dsqss/manual/v2.0.3/jp/dsqss/about_dsqss.html

[5] A. A. Ovchinnikov et al., Phys. Rev. B 68, 214406 (2003).

 

発表者3: 鍵谷 拓海(量子多体)

題目: 多体局在の数値計算

概要: 相互作用のある孤立した量子システムの一体ポテンシャルに乱れ(ランダム性)があるとき、システムは時間発展後、熱化に失敗し多体局在に陥ることがある[1]。この多体局在現象は光格子中の冷却気体系で実際に観測され、近年大きな注目を集めている[2]。本研究では、行列積状態を用いて大きいサイズの系において多体局在状態と熱化状態の境界を数値的に精密に与える方法を開発することを目指す。本発表では、そのための準備として、多体局在現象に関する重要な先行研究の内容を解説し、いくつかの数値計算を再現する。まず数値計算を行う数理モデルとして一次元スピンレスフェルミオン鎖モデルを解説する。次に熱化相と多体局在相を見分ける様々な数値計算手法[3,4]について解説する。その一つとして多体局在相の特徴としてエンタングルメントエントロピーの対数成長について注目し実際に行った数値シュミレーションの方法と結果を解説する。

参考文献

[1] D. A. Abanin et al., Rev. Mod. Phys. 91, 021001 (2019).
[2] M. Schreiber et al., Science 349, 842 (2015).
[3] A. Pal and D. A. Huse, Phys. Rev. B 82, 174411 (2010).
[4] D. J. Luitz et al., Phys. Rev. B 91, 081103(R) (2015).

 

発表者4: 浅井 詩緒乃(量子多体)

題目: 光格子中のBose気体の超流動状態に対する局所的な散逸の誘起する転移

概要: 近年、冷却原子系を用いた実験において、散逸の強さを高い精度で制御して量子多体系に対する散逸の影響を調べる研究が行われている[1,2]。また最近の理論研究では、制御可能な散逸を持つ空間一次元のBose-Hubbard系において、観測による量子状態の変化が転移として現れることが示されている[3,4]。

 本研究では、冷却原子系の光散乱に対応する散逸が超流動状態に対してどのような影響を与えるのかを調べる。Gutzwiller近似[5]を用いてLindblad方程式を解く[6,7]ことで3次元の散逸Bose-Hubbard模型のダイナミクスを解析する。サイト全体に少しでも散逸がかかっている場合、超流動状態が崩壊してしまうことを示す。一方、局所的に散逸を入れた場合では超流動状態が残ることがあり、散逸を加える空間領域や粒子数密度を変化させた時に超流動状態から常流動状態への転移が起こることを明らかにする。

 

参考文献

[1] Y. S. Patil et al., Phys. Rev. Lett. 115, 140402 (2015).

[2] T. Tomita et al., Sci. Adv. 3, e1701513 (2017).

[3] S. Goto and I. Danshita, Phys. Rev. A 102, 033316 (2020).

[4] Y. Fuji and Y. Ashida, Phys. Rev. B 102, 054302 (2020).

[5] D. S. Rokhsar and B. G. Kotliar, Phys. Rev. B 44, 10328(1991).

[6]A. Tomadin, S. Diehl, and P. Zoller, Phys. Rev. A 83, 013611(2011)

[7] S. Diehl et al., Phys. Rev. Lett. 105, 015702 (2010).

 

発表者5: 大谷 友佳(量子多体)

題目: Gutzwiller近似法による光格子中のBose気体の超流動流の安定性解析

概要: 1995年にBose–Einstein凝縮した冷却原子系気体が実現して以来、この系における超流動現象の研究は着実に発展してきた[1]。超低温気体を光格子中に閉じ込めることで、超流動性に対する強い粒子間相互作用の効果が明らかにされてきている。興味深い効果の一つとして、斥力相互作用の増大に伴って超流動流臨界運動量が著しく減少することが知られている[2]。また、最近の研究では光格子中の二軌道Bose気体が実現されている[3]。この二軌道系において、相互作用が弱い場合には、ごくわずかの軌道間混成によって臨界運動量が急峻に減少することが示されている[4]。

 本研究では、相互作用が強い場合にGutzwiller近似法を用いて二軌道Bose気体の超流動臨界運動量を解析して、軌道間混成と強い相互作用の協奏に起因する新奇な効果を開拓することを目指す。本発表では、一軌道のBose-Hubbard模型の超流動状態における臨界運動量をGutzwiller近似で解析した先行研究[5]の結果を再現する。具体的には、凝縮体が有限の準運動量で流れている場合の定常解を与え、その定常解からの励起の分散関係を求める。求めた励起の振動数から臨界運動量を決定し、相互作用が増大するにつれて臨界運動量が単調に減少してMott絶縁体への相転移点でゼロになることを示す。

 

参考文献

[1] L. Pitaevskii and S. Stringari, “Bose-Einstein Condensation and Superfluidity” (Oxford University Press, Oxford, 2016).

[2] J. Mun et al., Phys. Rev. Lett. 99, 150604 (2007).

[3] L. Riegger, Ph. D. Thesis, Ludwig-Maximilians-Universitat Munchen, 2019.

[4] 横井真理,卒業論文,近畿大学,2020年.

[5] T. Saito et al., Phys. Rev. A 86, 023623 (2012).

 

発表者6: 神田 哲汰(量子多体)

題目: トラップされたイオン集団を用いたJaynes-Cummings-Hubbard模型の量子シミュレーション

概要: 真空中にトラップされたイオンをラム・ディッケ領域まで冷却すると、レーザーを用いてその量子状態を高精度に制御することができる[1,2]。具体的には、イオンの適当な2つの内部状態を量子ビット、トラップ中の振動状態をボース粒子(フォノン)とみなし、さらにレーザーを用いてこれらの量子ビットとフォノンを結合することで、Jaynes-Cummings-Hubbard(JCH)模型で記述される量子系となる[2,3]。その高い制御性のために、この系はJCH模型の量子シミュレーションに応用できることが期待されている。

 本研究では、トラップされたイオン集団からなるJCH模型において、フォノンのBose-Einstein凝縮相に注目し、その超流動性を調べる。具体的にはGross-Pitaevskii方程式を解くことで、系のエネルギーバンド構造と有効質量を求め、有効質量の正負から超流動流の安定性を判定する[4]。

 

参考文献

[1]R. Blatt and C. F. Roos, Nat. Phys. 8, 277 (2012).

[2]占部 伸二, 「個別量子系の物理 ―イオントラップと量子情報処理―」, 朝倉書店, 2017年.

[3]Kenji Toyoda, Ryoto Hiji, Atsushi Noguchi and Shinji Urabe, Nature 527,74-77(2015).

[4]L.De Sarlo et al., Phys. Rev. A 72, 013603 (2005)


日時: 2021年1月14日13:15-

教室: 31号館3F 31-301教室

発表者1: 生島 大(物性理論)

題目: 一次元Bose-Einstein凝縮体における振動ポテンシャルを用いたソリトン乱流の生成

概要: ボースとアインシュタインが予言したBose–Einstein凝縮(BEC)は現在でも盛んに研究されており、光学技術により凝縮体の振る舞いを制御、可視化することが可能である。本研究では、一次元BECにおいて振動ポテンシャルによって生成されるダークソリトン乱流について考える。先行研究では二次元BECにおいて、振動ポテンシャルを用いてソリトンと量子渦の生成、消滅、結合するような複合ダイナミクスが存在することが理論的に示唆されている。本研究では、冷却原子系を想定し、一次元の Gross-Pitaevskii 方程式を用いて数値計算を行い、振動ポテンシャルが BEC にどのような変化を与えるのかを考察する。

 

発表者2: 村川 諒(物性理論)

題目: 量子揺らぎによって実現する量子液滴の衝突の理論解析

概要: 超低温領域の原子気体の実験で、気体が広がって一様に分布せずに、非常に希薄な状態の量子液相となることが観察されており、その量子液相は量子液滴と呼ばれるようになった。Dmitry Petrovの理論的提案では、2成分Bose-Einstein凝縮体の原子間相互作用を調整し、平均場近似における相互作用項とLee-Huang-Yangの量子補正項を競合させるように制御することで、自己束縛する量子液滴の作成が可能であると予言した。本研究ではLee-Huang-Yangの量子補正項を含んだ1次元Gross-Pitaevskii方程式を用いて異なる化学ポテンシャルと位相を持つ量子液滴を衝突させる数値シミュレーションを行う。

 

発表者3: 森本 哲平(物性理論)

題目: ラビ結合したボースアインシュタイン凝縮体における相対位相のドメインウォールの衝突

概要: Bose-Einstein 凝縮は 1925 年に Bose によって予言された。そして、理想ボース気体に近い中性原子気体のボースアインシュタイン凝縮体(BEC)が、それから70年後の1995年に初めて実験的に実現された。現在では、このボースアインシュタイン凝縮とそれに関連した様々な物理現象が盛んに研究されている。今、異なるスピン状態を持つような 2 成分 BEC を考える。この系に対して 2 成分のエネルギー状態の差に対応する周波数を持つような電磁波を入射すると、粒子が 2 つの準位の間で振動することが知られている。この現象をラビ振動と呼び、この振動に起因する結合をラビ結合という。この時、2 つの凝縮体の相対位相が 2πまきついたドメインウォールが存在することが知られている。本研究では、ドメインウォール同士を衝突させ、どのような相互作用が起きるかを数値実験を用いて調べる。

 

発表者4: 増井 優太(物性理論)

題目: 遠距離相互作用を持つ離散的なBECのダイナミクスについて

概要: ボース粒子は温度が低温になるとボース・アインシュタイン凝縮(BEC)という現象が起きる。このBECに光格子という周期的なポテンシャルを与えると、腹の部分にBECが局在する状態になり離散的なBECが出来る。本研究ではボース粒子間に遠距離相互作用がはたらいているときの離散的なBECのダイナミクスについて調べていきます。

過去の講演

日時: 2020年4月15日15:00-

教室: 31号館3F 31-301教室 + Zoomでのオンライン配信

発表者: 金子 隆威(量子多体)

題目: Magnetic Field Induced Competing Phases in Kitaev Magnets

概要: The Kitaev model on a honeycomb lattice is one of the rare examples of exactly solvable models in two-dimensional quantum systems. The Kitaev candidate material alpha-RuCl3 has attracted much interest recently because of the putative field-induced spin liquid. Motivated by the experimental findings, we investigate a ground-state phase diagram of the extended Kitaev model, where the Kitaev and off-diagonal spin-exchange interactions compete.

First, we examine the ground states of the classical model by the simulated annealing method to get an insight into the phase diagram. We find various magnetic orders with substantially large unit cells away from the Kitaev limit. Second, based on the findings in the classical model, we study the quantum model by applying the two-dimensional tensor-network method. When the field and the off-diagonal exchange interaction are sufficiently large, we find two intermediate phases, sandwiched by the ferromagnetic and zigzag phases. They become nonmagnetic as the field decreases and spontaneously break the lattice rotational symmetry.

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日時: 2020年4月22日15:00-

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発表者: 大兼 英朗(量子制御)

題目: Quantum remote sensing under the effect of dephasing

概要: Quantum remote sensing (QRS), which is proposed in [1], enables us to perform remotely a quantum sensing with a security about the measurement results. In this seminar, we introduce the protocol of the QRS and explain a state preparation error of Bell pair, which is considered in [1]. Next, we discuss our recent research on the QRS, which consider the effect of dephasing as well as the imperfect state preparation. We also show that, as we increase the repetition number, the effect of dephasing become more relevant to the performance of the quantum sensing than the state preparation error.

[1] Y. Takeuchi, Y. Matsuzaki, K. Miyanishi, T. Sugiyama and W. J. Munro; Phys. Rev. A 99, 022325 (2019)

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日時: 2020年5月13日15:00-

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発表者: 小久保 治哉(物性理論)

題目: Nonlinear dynamics of an interface in phase-separated two-components Bose condensates with counterflow

概要:Kelvin-Helmholtz instability (KHI) is an instability that occurs at the insterface of phase-separated fluids with relative velocities. The KHI in Bose-Einstein condensates (BECs) is similar to classical one, since it can be considered as a dynamical instability which occurs without dissipation mechanism of the system[1]. Also,it has been known that two-component superfluids with counterflow cause countersuperflow instability (CSI)when they are in a mixed state[2]. A width of an interface in phase-separated two-component BECs can be controlled by varying the interaction strengths between the atoms. It has been shown that the instability changes like crossover between the KHI and the CSI by changing the interface width[3].

 In this talk, I will show how the dynamics of the interface is changed by varying the heterogeneous interaction strength as a parameter characterizing instability for a phase-separated two-component BEC with counterflow without an external potential.

[1]H. Takeuchi, N. Suzuki, K. Kasamatsu, H. Saito, and M. Tsubota, Phys. Rev. B 81, 094517 (2010).
[2]S. Ishino, M.Tsubota, and H. Takeuchi, Phys. Rev. A 83, 063602 (2011).
[3]N. Suzuki, H. Takeuchi, K. Kasamatsu,M. Tsubota, and H. Saito, Phys. Rev. A 82,063604(2010).

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日時: 2020年5月20日15:00-

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発表者: 後藤 慎平(量子多体)

題目: Measurement-induced transitions in ultracold atoms and their detection through the ergodicity breaking

概要: Unitary evolution under the Schrödinger equation increases the entanglement of a quantum state. The entanglement of a quantum state is the resource for quantum computations and gives an alternative foundation of statistical mechanics. On the other hand, measurements, nonunitary effects coming from interactions between the environment, collapse a state and decrease the entanglement of the state. Very recently, theoretical studies on quantum circuit models have shown that frequent measurements change the scaling law of the entanglement entropy [1, 2, 3], which quantifies the entanglement. When the rate of measurements is low, the scaling is the volume law, i.e., a state is strongly entangled. If the rate exceeds a critical value, the scaling becomes the area law, i.e., a state is low entangled. Revealing the nature of this measurement-induced transition (MIT) is essential for understanding the effects of measurements on the entanglement and leads to the protection of the entanglement from measurements.

In this talk, I discuss how to realize and detect the MIT in ultracold atoms [4]. Because of the long coherent time and controllability of the isolation, ultracold atoms seem ideal platforms for studying the MIT. Based on quasi-exact numerical simulations with matrix product states, we find that the Bose-Hubbard model with controllable dissipations, which is experimentally realized [5], shows two MITs: a transition from the volume law to the area one at small dissipation and that from the area law to the volume one at very strong dissipation. We also show that MITs can be detected through the ergodicity breaking deduced from the dynamics. Since the ergodicity breaking is the direct consequence of the area-law scaling, the detection scheme we propose can be applied to any particle systems.

References
[1] Y. Li, X. Chen, and M. P. A. Fisher, Phys. Rev. B 98, 205136 (2018).
[2] A. Chan et al., Phys. Rev. B 99, 224307 (2019).
[3] B. Skinner, J. Ruhman, and N. Adam, Phys. Rev. X 9, 031009 (2019).
[4] S. Goto and I. Danshita, arXiv:2001.03400v2.
[5] T. Tomita et al., Sci. Adv. 3, e1701513 (2017).

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日時: 2020年5月27日15:00-

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発表者: 尾崎 裕介(量子多体)

題目: Semiclassical analysis of Bose gases in kagome lattices with frustration

概要: Frustration in physics signifies extensive degeneracy near the ground state of a many-body system. It has received considerable interest because it is an essential component for understanding the various emergent phenomena in many-body systems [1, 2]. For instance, particles on a triangular or kagome lattice may have frustration due to its geometric structure. Specifically, in the case of non-interacting particles on a kagome lattice, a flat band is formed, which is a clear feature of the extensive degeneracy. In this talk, we consider spinless bosons with on-site interaction on the kagome lattice within in the presence of weak quantum fluctuations. Since the single particle energies are degenerate in the flat band, the interaction plays a dominant role on the kagome lattice. In addition, the previous work [3], calculating zero-point energies (ZPEs) due to Bogoliubov phonons for several degenerate states,  suggests that the ZPEs resolve the degeneracy and that there exist three different phases depending on the temperature. We discuss a way to numerically examine this proposal by using the truncated Wigner approximation.

[1] H. Diep, Frustrated Spin Systems (World Scientific, Singapore, 2004).

[2] R. Moessner and A.P. Ramirez, Physics Today 59, 24 (2006).

[3] Y.-Z. You, Z. Chen, X.-Q. Sun, and H. Zhai, Physical Review Letters 109, 265302 (2012).

公式には近畿大学大学院総合理工学研究科理学専攻の修士論文研究中間発表である。

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日時: 2020年6月3日15:00-

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発表者: 久木田 真吾(量子制御)

題目: “Acrobatic maneuver” in error-robust quantum control of qubit

概要: A qubit is a fundamental unit of quantum information. A quantum state of the qubit can be represented as a point in a unit sphere called the Bloch sphere while its dynamics are expressed by trajectories in this sphere. Control of a quantum state of the qubit is performed by unitary operations when we do not consider effects of dissipation. These unitary operations should be robust against systematic errors in control parameters for reliable quantum computing. Composite pulse is a technique to construct unitary operations robust against such systematic errors. The composite pulse basically requires that a quantum state goes through very complicated trajectories in the Bloch sphere. In actual experiments of qubit control, however, there can exist regions that should not be passed: in NMR experiments, for example, when a state of the qubit pass by the equator in the Bloch sphere, the state is disturbed by so-called Radiation Damping. Thus, it is unpreferable that a state pass across the equator in the case of NMR experiments. A question now arises: do there exist composite pulses whose trajectories avoid the equator or such unpreferable regions? In this talk, I shall briefly review some basics of the technique of the composite pulse and investigate the possibility of composite pulses whose trajectories avoid unpreferable regions in the 1-qubit case.

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日時: 2020年6月10日15:00-

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発表者: 町田 佳央(物性理論)

題目: Bose-Hubbard Droplet of two-component Bose Atomic Gases in an Optical Lattice

概要: Self-bound quantum droplets are newly discovered phase in the context of ultracold atoms. By using an attractive bosonic mixture, spherical droplets form due to the balance of competing attractive and repulsive forces, provided by first-order correction by quantum fluctuations[1]. It is known that a first-order transition exists at the ground state phase diagram giving a superfluid and a Mott insulator transition in a Bose-Bose mixture system[2]. We aim to realize a spherical droplet in the Bose-Hubbard model, taking advantage of a jump of the condensate density seen in the first order transition points. In this talk, I show the numerical results and future outlook.

Reference

[1] G. Semeghini et al., Phys. Rev. Lett. 120, 235301 (2018)

[2] Y. Kato et al., Phys. Rev. Lett. 112, 055301 (2014)

公式には近畿大学大学院総合理工学研究科理学専攻の修士論文研究中間発表である。

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日時: 2020年6月17日15:00-

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発表者: 松本 匡貴(高エネルギー加速器研究機構)

題目: Dynamics of entanglement entropy and disorder in gauge/gravity duality

概要: The isolated quantum system exhibits various states in the presence of interactions and disorder. One interesting class is called the many-body localization (MBL) phase, in which the system fails to thermalize. Though the MBL phase is well studied both experimentally and theoretically, it is still controversial whether there exists a phase transition between the MBL phase and the thermalizing phase or not and what parameters characterize the thermalization process. 
There is a possibility that the entanglement entropy (EE) can be a universal quantity which distinguishes these two phases and characterizes the thermalization process. 
In this seminar, I will talk about a dynamical behavior of the holographic EE in the thermalizing phase and discuss the possibility of realizing the MBL phase in holography.

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日時: 2020年6月24日15:00-

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発表者: 久茂田 倖(物性理論)

題目: CP^1+U(1) lattice gauge model in SU(2) rep.

概要: One of quantum models of a brain has been known as the quantum brain dynamics proposed by Takahashi and Umezawa[1] and later extended by Jibu and Yasue [2]. The theory can be analyzed by the four-dimensional CP^1+ U (1) lattice gauge model, which is a quantum field model with a local gauge invariance. The model represents a lattice system with an ensemble of qubits at each site and a electromagnetic field mediates the interaction between qubits.

 The phase structure of the CP^1+ U(1) model has been investigated numerically by using Monte Carlo simulation (MC) to study memory mechanism . The results show that this model consists of three phases, the Higgs phase, the Coulomb phase, and the Confinement phase. Each phase is distinguished from the presence or absence of learning and recall ability. In addition, the time development has been studied by the Metropolis method to see the learning and recalling efficiency. As a result, the Higgs phase is possible to learn and recall, and it works correctly as a memory mechanism.

In this talk, we describe the CP^1+U(1) lattice gauge model as a strongly correlated electron system. And, we confirm the real-time dynamics in the one-dimensional CP^1 + U (1) lattice gauge model and introduce the TWA in the representation of SU(2).

[1] C.Stuart, Y.Takahashi and H.Umezawa, J. Theor. Biol.71,pp.605,1978; Found. Phys.9,pp.301,1979. See also G.Vitiello, Int. J. Mod. Phys. B9,pp.973,(1995).

公式には近畿大学大学院総合理工学研究科理学専攻の修士論文研究中間発表である。

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日時: 2020年7月1日15:00-

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発表者: 段下 一平(量子多体)

題目: Spatio-temporal evolution of correlations in the Bose-Hubbard model after a quantum quench

概要: A quantum quench means an abrupt change of parameters in the Hamiltonian governing a quantum system. In advanced quantum platforms, such as ultracold gases, trapped ions, Rydberg atoms in optical tweezer arrays, and superconducting circuits, quantum quenches can be easily implemented so that they serve as a standard tool for probing interesting nonequilibrium physics of the quantum many-body systems. Examples that quantum quenches can give rise to include thermalization of isolated quantum systems, propagation of quantum information, and many-body localization. In this work, we analyze nonequilibrium dynamics of the Bose-Hubbard model after a quantum quench by means of a quantum simulator built with ultracold gases in optical lattices [1]. We discuss dynamical spreading of a non-local correlation function in connection with the Lieb-Robinson(-like) bound, which limits the propagation speed of quantum information. We also utilize the outputs from the quantum simulator as a reference for examining quantitative performance of an approximate numerical method, namely the truncated Wigner approximation.

[1] Y. Takasu, T. Yagami, H. Asaka, Y. Fukushima, K. Nagao, S. Goto, I. Danshita, and Y. Takahashi, arXiv:2002.12025v2 [cond-mat.quant-gas].

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日時: 2020年7月8日15:00-

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発表者: 笠松 健一(物性理論)

題目: Non-Gibbs states in the Bose-Hubbard system 

概要: I will talk about the statistical mechanics of discrete nonlinear Schrodinger equation [1]. The analysis shows that the microcanonical dynamics at equilibrium is characterized by two parameters, the particle density and the energy density. There are two regimes in which the usual grand-canonical formalism becomes applicable to one regime, but not to the other; the latter is called the non-Gibbs phase. I will show some characteristics of the non-Gibbs state and that this argument holds for the quantum Bose-Hubbard model (BHM) [2]. Finally, I will show my current project which extends the above study to the BHM with long-range interaction.

[1] K.O.Rasmussen, et al., Phys. Rev. Lett. 84, 3740 (2000). 

[2] A.Y.Cherny, et al., Phys. Rev. A 99, 023603 (2019). 

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日時: 2020年7月15日15:00-

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発表者:  近藤 康(量子制御)

題目: Quantum measurements simulated in NMR

概要: Measurements in quantum and classical mechanics are quite different. They can be performed without disturbing a system to be detected in classical mechanics, while it is not the case in quantum mechanics. In order to illustrate this difference, we revisit the quantum teleportation and quantum Zeno experiments [1, 2] in terms of information flow. These experiments were done with a standard high precision NMR spectrometer at Kindai University.

[1] Y. Kondo; JPSJ 76, 104004 (2007).

[2] Y. Kondo, Y. Matsuzaki, K. Matsushima, and J. G. Filgueiras; New J. Phys. 18, 013033 (2016).


日時: 2020年7月30日13:15-

教室: Zoomでのオンライン配信

発表者:  中村 拓人(一般相対論・宇宙論)

題目: ブラックホール周囲の光子球と重力波の準固有振動

概要: 2015年にLIGOによってブラックホール連星の合体に伴う重力波が初観測された[1]。その後も次々と重力波イベントが観測されている。これによって本格的に重力波天文学の幕開けとなった。今、ブラックホールから放出される重力波について理解する重要性が高まってきている。

重力波の理論研究は、近年では数値計算によるものが大きく発展したが、様々な近似を用いた解析的研究も進められてきた。後者関して、例えば、重力波は振動数が十分大きな極限(eikonal極限)において、幾何光学近似を用いることで光子のような無質量粒子の軌道として考えることができる。一方、ブラックホールの周囲の幾何学は光子の円軌道の集合である光子球(photon sphere)により特徴付けられる。一般的に光子の円軌道は不安定である。2019年にEvent Horizon Telescopeによってブラックホールの影が撮影されたが[2]、この影の輪郭はphoton sphereから漏れ出た光子である。実は、このphoton sphere近傍の光子円軌道の不安定性がブラックホールからの重力波の準固有振動(QNMs)と関連していることがわかっている。特に、カオスを議論する際に、カオスの強さを評価する量であるLyapunov指数を用いてQNMsと光子軌道の不安定との関係を定量的に評価する方法が提案された[3]。

 しかし、このLyapunov指数を用いた方法は現在のところ静的時空の場合に限定されている。そこで、今後ブラックホール連星の合体のような興味のある動的な時空の解析に備えて、このLyapunov指数の方法を拡張できないかを議論したい。観測されている重力波が連星系によることからも、今後、この議論の重要性はますます大きくなると考えられる。以上の動機に基づいて本発表ではブラックホールの合体を記述する厳密解の1つであるKastor-Traschen解[4]についても触れたい。

 

[1] B.P. Abbott, et al.: Phys. Rev. Lett. 116, 061102 (2016).

[2] The Event Horizon Telescope Collaboration: Astrophys. J. 875, L1 (2019).

[3] V. Cardoso, A.S. Miranda, E. Berti, H. Witek and V.T. Zanchin: Phys. Rev. D 79, 064016 (2009).

[4] D. Kastor and J. Traschen: Phys. Rev. D 47, 5370 (1993).


日時: 2020年8月6日13:45-

教室: 31-302教室 + Zoomでのオンライン配信

発表者:  高島 智昭(一般相対論・宇宙論)

題目: 遅延グリーン関数による膜宇宙と重力波~高次元の数学的考察~

概要: 膜宇宙モデルは今から 20 年前にランドールとサンドラムの 2 人によって発表されたモデ ルである[1]が、決して実験や観測によって否定されたわけではなく、未だ研究は完成して いない。余剰次元のコンパクト化に関して、古典的なカルツァ・クライン型モデルとは際立 って対照的な膜宇宙モデルは、ブラックホールの構造や宇宙誕生のしくみなど極限領域に 関する今後の研究を通して、重力の理解に重要な示唆を与えてくれる可能性がある。

本発表では、まず、FLRW 時空の運動方程式であるフリードマン方程式を紹介する。[3] 次に、5次元方向が歪曲しているときの5次元反ド・ジッター時空の計量を示す。[3]そし て、イスラエルの接続条件と Z2 対称性によって 5 次元曲率半径とブレーンの張力の関係を 決める。[4]さらに、ブレーン上の重力波摂動を考えたときの運動方程式と接続条件をラン ドール・サンドラム模型から導出して、その運動方程式をみたす遅延グリーン関数を求めて、 それを用いて膜宇宙での重力波摂動についての計算を紹介する。[2]

[1] L. Randall and R. Sundrum, Phys. Rev. Lett. 83, 4690 (1999)
[2] J. Garriga and T. Tanaka, Phys. Rev. Lett. 84, 2778 (2000) [3]アインシュタイン方程式 白水徹也,2012,サイエンス社 [4]宇宙論Iー宇宙のはじまり 佐藤勝彦・二間瀬敏史,2012,日本評論社


日時: 2020年9月24日13:15-

教室: 31号館3F 31-601教室 + Zoomでのオンライン配信

発表者1:神田 哲汰(量子多体)

題目: トラップされたイオン集団を用いたJaynes-Cummings-Hubbard模型の量子シミュレーション

概要: 真空中にトラップされたイオンをラム・ディッケ領域まで冷却すると、レーザーを用いてその量子状態を高精度に制御することができる[1,2]。具体的には、イオンの適当な2つの内部状態を量子ビット、トラップ中の振動状態をボース粒子(フォノン)とみなし、さらにレーザーを用いてこれらの量子ビットとフォノンを結合することで、Jaynes-Cummings-Hubbard (JCH) 模型で記述される量子系となる[2,3]。その高い制御性のために、この系はJCH模型の量子シミュレーションに応用できることが期待されている。

 本研究では、そのような量子シミュレータを用いて実現しうる新奇な量子多体現象を予言することを目的とする。特にトラップされたイオン集団のフォノンの自由度に注目し、それに由来する現象・効果を解析する。本発表では、その準備として、トラップされたイオン集団の系とJCH模型の物理的な対応関係[2,3]を詳細に説明する。

[1]R. Blatt and C. F. Roos, Nat. Phys. 8, 277 (2012).

[2]占部 伸二, 「個別量子系の物理 ―イオントラップと量子情報処理―」, 朝倉書店, 2017年.

[3]Kenji Toyoda, Ryoto Hiji, Atsushi Noguchi and Shinji Urabe, Nature 527,74-77(2015).


発表者2: 堂田 佳秀(量子多体)

題目: リドベルグ原子集団を記述する高次元量子イジング模型の精密数値解析に向けて

概要: 光ピンセットにより空間的に規則正しく配列されたリドベルグ原子集団は非常に制御性が高いため、量子磁性体の量子シミュレータとしての技術開発が世界各所で進められている。これまでに、空間1次元のリドベルグ原子集団を用いて、量子相転移やそれをまたぐ量子非平衡ダイナミクス[1,2]といった量子物性がこの物理系で実現されている。本研究では、リドベルグ原子集団を用いて将来的に量子シミュレーションされることが見込まれる高次元空間の縦横磁場イジング模型に関して、基底状態相図を量子モンテカルロ法によって定量的に求めることを目標としている。得られる相図は今後の量子シミュレーション実験に有用なベンチマークになると期待される。本発表では、研究の準備段階としてリドベルグ原子集団がどのようにして縦横磁場反強磁性イジング模型で記述されるのかを説明し、この模型における反強磁性状態から常磁性状態への量子相転移の平均場近似による解析[3]をおさらいする。

[1] H. Bernien et al., Nature 551, 579 (2017).

[2] A. Keesling et al., Nature 568, 207 (2019).

[3] A. A. Ovchinnikov et al., Phys. Rev. B 68, 214406 (2003).


発表者3: 浅井 詩緒乃(量子多体)

題目: 光格子中のボース気体における量子ダイナミクスに対する散逸の影響

概要: 量子系では測定を頻繁に行うことで量子力学的な運動が抑制されることが、量子ゼノ効果として知られている。近年、光格子中の冷却気体系を用いた実験において、観測の強さを高い精度で制御して量子多体系に対する観測の影響を調べる研究が行われており、強い観測によって原子気体のトンネリングが顕著に抑制されることが確認されている[1,2]。さらに、ごく最近の理論研究で、制御可能な散逸を持つ空間一次元のBose-Hubbard系において、観測による量子状態の変化が転移として現れることが示されている[3,4]。卒業研究では、Gutzwiller近似を用いて高次元の散逸Bose-Hubbard模型を解析し[5]、観測が転移を引き起こす可能性について検討することを目指す。本発表の前半では先行研究をおさらいし、卒業研究の目的を説明する。後半では、その準備として観測を入れない場合を考え、超流動からMott絶縁体への量子相転移とその相転移をまたぐスウィープダイナミクスのGutzwiller近似による計算結果を紹介する。

[1] Y. S. Patil et al., Phys. Rev. Lett. 115, 140402 (2015).

[2] T. Tomita et al., Sci. Adv. 3, e1701513 (2017).

[3] S. Goto and I. Danshita, Phys. Rev. A 102, 033316 (2020).

[4] Y. Fuji and Y. Ashida, Phys. Rev. B 102, 054302 (2020).

[5] S. Diehl et al., Phys. Rev. Lett. 105, 015702 (2010).


日時: 2020年9月25日13:15-

教室: 31号館3F 31-301教室 + Zoomでのオンライン配信

発表者1: 大谷 友佳(量子多体)

題目: Gutzwiller近似法による光格子中のBose気体の超流動流の安定性解析

概要: 1995年にBose–Einstein凝縮した冷却原子気体が実現して以来、この系における超流動現象の研究は着実に発展してきた[1]。超低温気体を光格子中に閉じ込めることで、超流動性に対する強い粒子間相互作用の効果が明らかにされてきている。興味深い効果の一つとして、斥力相互作用の増大に伴って超流動臨界運動量が著しく減少することが知られている[2]。また、最近の研究では光格子中の二軌道Bose気体が実現されている[3]。この二軌道系において、相互作用が弱い場合には、ごくわずかの軌道間混成によって臨界運動量が急峻に減少することが示されている[4]。
 本研究では、相互作用が強い場合にGutzwiller近似法を用いて二軌道Bose気体の超流動臨界運動量を解析して、軌道間混成と強い相互作用の協奏に起因する新奇な効果を開拓することを目指す。本発表では、そのための導入として一軌道のBose-Hubbard模型を考え、Gross-Pitaevskii近似法とGutzwiller近似法の二つの手法による超流動流の安定性解析を紹介する。

[1] L. Pitaevskii and S. Stringari, “Bose-Einstein Condensation and Superfluidity” (Oxford University Press, Oxford, 2016).
[2] J. Mun et al., Phys. Rev. Lett. 99, 150604 (2007).
[3] L. Riegger, Ph. D. Thesis, Ludwig-Maximilians-Universitat Munchen, 2019.
[4] 横井真理,卒業論文,近畿大学,2020年.


発表者2: 鍵谷 拓海(量子多体)

題目: 量子システムの熱化と多体局在

概要: 相互作用のある孤立した量子システムの一体ポテンシャルに乱れ(ランダム性)があるとき、システムは時間発展後、熱化に失敗し多体局在に陥ることがある[1]。この多体局在現象は光格子中の冷却気体系で実際に観測され、近年大きな注目を集めている[2]。本発表では、最初に、孤立した量子システムの熱化を説明する固有状態熱化仮説(ETH)を解説する。次に、数値計算で用いる数理モデルである一次元フェルミオン鎖モデルについて解説する。最後に、量子システムの固有状態や時間発展の数値計算において、熱化相と多体局在相を見分ける手法[3,4]を議論する。

[1] D. A. Abanin et al., Rev. Mod. Phys. 91, 021001 (2019).
[2] M. Schreiber et al., Science 349, 842 (2015).
[3] A. Pal and D. A. Huse, Phys. Rev. B 82, 174411 (2010).
[4] D. J. Luitz et al., Phys. Rev. B 91, 081103(R) (2015).


日時: 2020年10月14日16:45-

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発表者:久木田 真吾(量子制御)

題目: Controllable non-Markovianity in phase relaxation

概要: Recently, remarkable progress in quantum technology has been witnessed. In view of this, it is important to investigate an open quantum system as a model of quantum devices. Quantum devices often require extreme conditions such as very low temperature for the devices to operate. Dynamics can be non-Markovian in such a situation in contrast with Markovian dynamics in high temperature regime. This observation necessitates us to investigate a non-Markovian open quantum system, both theoretically and experimentally. In this talk, I will report two important results: 1) Exact solution of a simple but non-trivial theoretical model and 2) demonstration of this model by NMR experiments, where non-Markovianity is continuously controllable [1]. We observe qualitative agreement between theory and experiment.

[1] S. Kukita, M. Nakahara, and Y. Kondo, arXiv:2007.11382 [quant-ph].


日時: 2020年10月21日16:45-

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発表者: 大兼 英朗(量子制御)

題目: Spin cooling with a superconducting flux qubit

概要: A superconducting flux qubit is a promising sensor with high sensitivity to magnetic fields generated by an electron spin ensemble [1]. To improve the sensitivity, it is desirable for the polarization rate of the electron spin ensemble to be increased. When implementing the sensing protocol with the superconducting flux qubit, the external magnetic fields are typically weak, and the Zeeman energy of electron spins is smaller than the thermal energy. So, the electron spins are considered as completely mixed state. In this talk, we show that the polarization rate can be increased through the interaction between the superconducting flux qubit and the electrons, which we call spin cooling. Specifically, by using spin lock technique for the superconducting flux qubit, the flip-flop interaction between the superconducting flux qubit and the electrons can be induced to cause the energy exchange between them. Our theoretical analysis shows that such a spin cooling can be implemented even with the current technology, and this helps to improve the signal to noise ratio of the superconducting flux qubit to detect the electron spins.

[1]R.P.Budoyo, K.Kakuyanagi, H.Toida, Y.Matsuzaki, and S.Saito; Appl. Phys. Lett. 116, 194001 (2020)


日時: 2020年10月28日16:45-

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発表者: Marmorini, Giacomo(青山学院大学)

題目: Unconventional phase transitions in SU(N) Heisenberg models under external fields

概要:Heisenberg models with enlarged SU(N) symmetry were introduced in condensed matter physics mostly as a theoretical tool that provides calculable approximations for solid-state magnetic insulators. However, with the latest progress in cold-atom experiments with alkaline-earth-like atoms, such as 173-Yb, the expectations to observe the novel type of magnetism associated with higher SU(N) symmetry in the near future have become quite high. In addition to the fully symmetric case, one can also study the situation in which the symmetry is partially broken by external fields that couple to one-body operators in the Cartan subalgebra; this represents a generalization of the external magnetic field in standard spin systems.

 In this talk we will focus more in detail on the triangular SU(3) model in a magnetic field [1]. We argue that at zero temperature three nontrivial phases appear below the fully saturated state, thanks to the order-by-disorder mechanism, including a quantum-stabilized 2/3 plateau. The same kinds of phases are stabilized also by thermal fluctuations; quite interestingly, the low-field and high-field phases melt via an unconventional Berezinskii-Kosterlitz-Thouless transition mediated by half-quantized vortices.

If time permits, we will touch upon other systems under investigation, namely the square-lattice SU(3) model with one majority (minority) component [2] and the SU(4) model of coupled tetramers with quadratic Zeeman term [3].

[1] D. Yamamoto et al, PRL 125, 057204 (2020)

[2] H. Motegi et al, in preparation.

[3] Y. Miyazaki et al, in preparation.

公式には近畿大学大学院総合理工学研究科学際セミナーとして開催。


日時: 2020年11月4日16:45-

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発表者: 金子 隆威(量子多体)

題目: Tensor-network study of quench dynamics of the two-dimensional Bose-Hubbard model

概要: Non-equilibrium dynamics of quantum many-body systems has been a subject of intensive investigation. Measuring the real-time dynamics of two-point spatial correlation functions is worthwhile since it helps understand how quantum information propagates. Analog quantum simulators are ideal devices for measuring such correlation functions; however, examining the accuracy of experiments, at least for simpler systems, is desired through the numerically exact calculations by the classical computers.In this talk, motivated by the recent experiment on a cold-atom quantum simulator [1], we focus on the quench dynamics of a Mott insulating state in the Bose-Hubbard model. In the previous study of real-time dynamics, the single-particle correlation functions observed in the experiment agreed well with those calculated by a numerical method based on matrix product states (MPS) in one spatial dimension. Similarly, in three spatial dimensions, the truncated Wigner approximation (TWA) and the quantum simulators gave nearly consistent results. However, there were no reliable numerical methods in two spatial dimensions. Here we use the two-dimensional tensor network method [2,3] based on projected entangled pair states (PEPS) [4,5], which are the extended version of MPS to two spatial dimensions. We discuss how far one can go using the PEPS algorithm by comparing the experimental and numerical data.

References
[1] Y. Takasu et al., Sci. Adv. 6, eaba9255 (2020).
[2] C. Hubig and J. I. Cirac, SciPost Phys. 6, 031 (2019).
[3] P. Czarnik et al., Phys. Rev. B 99, 035115 (2019).
[4] T. Nishino et al., Prog. Theor. Phys. 105, 409 (2001).
[5] F. Verstraete, J. I. Cirac, arXiv:cond-mat/0407066.


日時: 2020年11月11日16:45-

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発表者: Li, Yingcheng(復旦大学)

題目: Dynamical-Invariant-based Holonomic Quantum Gates: Theory and Experiment

概要: Among existing approaches to holonomic quantum computing, the adiabatic holonomic quantum gates (HQGs) suffer errors due to decoherence, while the non-adiabatic HQGs either require additional Hilbert spaces or are difficult to scale. Here, we report a systematic, scalable approach based on dynamical invariants to realize HQGs without using additional Hilbert spaces. While presenting the theoretical framework of our approach, we design and experimentally evaluate single-qubit and two-qubits HQGs for the nuclear magnetic resonance system. The single-qubit gates acquire average fidelity 0.9972 by randomized benchmarking, and the controlled-NOT gate acquires fidelity 0.9782 by quantum process tomography. Our approach is also platform-independent, and thus may open a way to large-scale holonomic quantum computation.

録画ファイル


日時: 2020年11月18日16:45-

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発表者:  町田 佳央(物性理論)

題目: Analysis of Bose-Hubbard Droplet by Ginzburg-Landau theory

概要: Quantum droplets formed using quantum correction terms such as Lee-Hung-Yang have been observed experimentally[1]. The purpose of the research is to realize a spherical droplet in the Bose-Hubbard model, called Bose-Hubbard droplet, taking advantage of a jump of the condensate density seen in the first order transition points. In the previous presentation, I was able to theoretically discover the existence of Bose-Hubbard droplet using the Gutzwiller approximation. I aim to compare the vibration modes of the droplet obtained by Gutzwiller numerical calculation with the result obtained by Ginzburg-Landau(GL) theory. I will talk about the results in this presentation.

参考文献

[1]G. Semeghni et al., Phys. Rev. Lett. 120, 235301 (2018)


日時: 2020年11月25日16:45-

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発表者:  久茂田 倖(物性理論)

題目: Truncated Wigner approximation for compact groups, U(1) , SU(2)

概要: In recent years, there has been increasing interest in the real-time dynamics of quantum systems, mainly with the progress of experiments on cold atomic systems on optical lattices.In this talk,  we will consider simple quantum dynamical systems such as U (1) quantum pendulum when atomic variables are elements of compact groups used in quantum systems such as lattice gauge theory and CP^1 spin system.Truncated Wigner Approximation (TWA) is a typical approximation theory of real-time dynamics, but we consider the usefulness of TWA by comparing it with a numerically exact solution.


日時: 2020年12月2日16:45-

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発表者:   尾崎 裕介(量子多体)

題目: Semiclassical analysis of Bose gases in optical lattices by truncated Wigner approximation: a dark soliton and geometrical frustration

概要: In this talk, we consider the non-equilibrium dynamics in the regime of weak quantum fluctuations for two topics, (i) a dark soliton in a one-dimensional Bosonic superfluid in an optical lattice [1] and (ii) frustrated Bose gases in optical kagome lattices.

(i) In a previous talk, we showed the semiclassical dynamics of a dark soliton with weak quantum fluctuations. The dynamical stability of the dark soliton significantly depends on whether its phase kink is located at a lattice site or a link of two neighboring sites in the absence of quantum fluctuations [2,3]. It has been also shown in the previous work that the dark soliton is unstable in a regime of strong quantum fluctuations regardless of the phase-kink position. In this talk, we reconsider the semiclassical dynamics between the classical and strongly quantum regimes. We also discuss a mechanism for quantum fluctuations to destabilize the dark soliton and reveal that quantum fluctuations amplify the oscillation of the soliton, which leads to its destabilization.

(ii) In a previous talk, we discussed whether the three different phases, which suggested in the system of spinless bosons with sign-inverted hopping on the kagome lattice by a previous work [4], can be realized in calculating non-equilibrium dynamics within the truncated Wigner approximation. In this talk, we investigate several properties of these quantum states and suggest how to observe and distinguish them in experiment.

[1] Y. Ozaki, K. Nagao, I. Danshita, and K. Kasamatsu, Phys. Rev. Res. 2, 033272 (2020).

[2] R. V. Mishmash, L. D. Carr, Phys. Rev. Lett. 103, 140403 (2009).

[3] R. V. Mishmash, I. Danshita, Charles W. Clark, and L. D. Carr, Phys. Rev. A 80, 053612 (2009).

[4] Y.-Z. You, Z. Chen, X.-Q. Sun, and H. Zhai, Phys. Rev. Let. 109, 265302 (2012).


日時: 2020年12月9日16:45-

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発表者:   小久保 治哉(物性理論)

題目: Turbulent transition by a cylindrical wake in a Bose-Einstein condensate

概要: Reynolds number is an important dimensionless quantity for transition into a turbulence in classical fluid hydrodynamics. Even in superfluids, The Reynolds number is the useful to characterize  the turbulent transition of superfluids.[1] In this study, we consider the difference between the simulation and experimental results of previous studies on the turbulent transition by a cylindrical wake in the Bose-Einstein condensate.[1,2]
 In this talk, we introduce the Karman vortex street and turbulent transition in classical and quantum fluids, and then introduce the results of numerical calculations using the Gross-Pitaevskii equation.

[1]M. T. Reeves, T. P. Billam, B. P. Anderson, and A. S. Bradley Phys. Rev. Lett. 114, 155302 (2015).
[2]Woo Jin Kwon, Joon Hyun Kim, Sang Won Seo, and Y. Shin Phys. Rev. Lett. 117, 245301 (2016).


日時: 2020年12月16日10:45-

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発表者: Naidon, Pascal (理化学研究所)

題目: Mixed bubbles in repulsive Bose-Bose mixtures

概要: Repulsive mixtures of bosons at low temperature have been known (theoretically and experimentally) to either fully mix when the inter-species repulsion is weak (miscibility) or fully separate when that repulsion is strong enough (immiscibility). In this talk, I will show however that beyond-mean-field effects allow these mixtures to only partially mix, leading to the possibility of bubbles of mixtures coexisting within a pure phase. This occurs in asymmetric mixtures with unequal intra-species repulsion or unequal masses.

公式には近畿大学大学院総合理工学研究科学際セミナーとして開催。


日時: 2020年12月23日16:45-

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発表者: 久野 義人(筑波大学)

題目: Flat-band physics in artificial quantum many-body systems: disorder-free localization, embedded topological subspace and flat-band quantum scars

概要: Flat-band systems exhibit various interesting physical phenomena. Recently, some flat band many-body systems have been realized in experiments, e.g. in cold atom optical lattice system and photonic crystals. In this talk, we show our recent theoretical studies for such flat-band systems. In the first part, a flat-band localization and weak interaction effects are discussed [1]. The flat-band localization originates from the presence of a “compact localized state”. Also, by switching on modulated interactions, a topological subspace and characteristic edge modes are embedded in the flat-band localized system. In the second part, we discuss the presence of a quantum many-body scar embedded in flat-band systems. The scar state is a non-thermalized special eigenstate with low entanglement entropy, which has been firstly discovered in a Rydberg atom simulator [2]. We propose a general construction schema for such scar states and show some examples of the scar states in frustrated systems [3].

[1] YK, T. Mizoguchi, Y. Hatsugai, arXiv:2009.08134 (2020).
[2] H. Bernien, et.al., Nature (London) 551, 579 (2017).
[3] YK, T. Mizoguchi, Y. Hatsugai, arXiv:2010.02044 (2020).


2019年度